こんにちは。歯科衛生士の池上です。

今回はフッ素について書いてみたいと思います。

虫歯予防によく使用されるフッ素、実際にはどんなものなのでしょうか?

〈フッ素〉

フッ素は地球上で17番目に多い元素です。

土の中や水の中に含まれています。自然の状態ではフッ素単体で存在することはまれで、私たちが利用しているのはほとんどがフッ化物です。

フッ素(フッ化物)には酸に溶けにくい強い歯をつくる働きがあり、世界各国でむし歯予防に利用されています。

〈歯への効果〉

フッ素が歯の表面のエナメル質に取り込まれることで、主成分であるハイドロキシアパタイトの構成がよりしっかりと安定します。これによって歯の質が丈夫になり、酸に溶けにくい強い歯がつくられていきます。

特に生えたばかりの歯は、たくさんのフッ素を取り込みやすい性質があります。

また、唾液中に含まれるカルシウムイオンやリン酸イオンと一緒に、酸に攻撃された歯の表面にくっつき、再石灰化を助けて脱灰部分を元に戻そうとする働きがあります。

〈口の中の細菌への影響〉

細菌は糖を取り込み、分解してエネルギーをつくります。フッ素は糖を分解する酵素(エノラーゼ)の働きを邪魔する性質を持っています。これによって細菌の活動は弱まり、お口の中で細菌がつくられない良い環境になるのです。

〈フッ素を多く含む食品〉

フッ素は緑茶やワカメ、エビ、イワシなどの海産物に多く含まれています。ただし、むし歯予防のためには食品からフッ素を摂るだけでなく、歯科医院でフッ化物を塗ってもらったり、フッ化物入りの歯みがき剤を使う方が効果は高いのです。

〈フッ素は体に悪くないのか?〉

フッ素は食品中にも含まれており、私たちが普段から身体に取り入れている栄養素のひとつです。

もちろん誤った使い方をすれば身体に害を与える場合もありますが、正しい使い方をすれば問題ありません。

〈フッ化物を使っていれば、歯みがきしなくていい?〉

フッ素は歯を強くしますが、使っていればむし歯にならないわけではありません。

歯みがきで丁寧にプラークを取り除き、砂糖の量を控えることは、むし歯予防には大切です。

〈子どもに塗るタイミング〉

子どものベストなタイミングは、乳歯が生えてくる時期や生え変わりの時期です。

生えてきたばかりの歯は弱くてむし歯になりやすいので、早めに抵抗力をつけてあげることが大切です。

〈大人への効果〉

むし歯や歯周病を防ぐには歯みがきが大切ですが、歯周病が進行したり、歯ぐきが下がることによって歯の根元が見えてきます。その根元のむし歯予防にもフッ素は効果を発揮します。

歯の表面にフッ素が取り込まれることで歯は強くなりますが、フッ素を使っていても食事のたびに歯は酸の攻撃をうけてしまいます。

むし歯を防ぐには丁寧なブラッシングやフロス、糖分のコントロール、フッ素を使ったむし歯予防を心がけましょう。