乳幼児期から学齢期まで指しゃぶりをしている子どもの口腔内でのリスクについて記載します。

乳幼児期より学齢期まで指しやぶりを統けていると、不正咬合にとどまらず, 顎顔面の成長発育や発音にまで悪影響を及ぼします。この時期に行うアプローチとしては、本人の気持ちを引き出し、指しやぶりをやめるように導きます.この時期まで続いた指しやぶりは、こどもの精神発達や生活環境、親子関係などとの関連があるこ

とが多いため、子どもが指をしゃぶってしまう背景を探ることが大切です。アプ□ーチを行う前に、

・子どもが指しやぶりをやめたいと思っているか

・両親、家族(祖父母’兄弟を含む)の協力、理解が得られているか

・健康状態がよいか

・生活環境(学校.家庭環境, 友人関係)に問題がないか

・こどもの精神発達に問題がないか

などのことを確認します.日常的に「お友達とうまくかかわれない」「1日中指をしやぶっている」「爪をかむ,髪を抜く、顔を爪で傷つけるなどの自傷癖がある」など精神的に何か気がかりなことがある場合、指しゃぶりをなくす前に、子どもの生活のなかで不安がないかどうかを見直すよう保護者にアドバイスします.指しやぶりはよくないからと言って、無理に辞めさせるのではなく、生活面での不安を取り除くことが大切です。

口腔習癖を観察する

指しゃぶりやを突出癖などの口腔習癖は, 口

腔周囲筋の不調和を引き起こし, 上顎前突や開

咬, 交叉咬合など歯列.咬合に影響を与えるた

め, 口腔習癖へのアプローチが必要になります。

臨床的に多くみられる口腔習癖は、「舌突出癖」や安静時に口腔底に舌が位置する「低位舌」「口唇閉鎖不全を伴う口呼吸」です。口唇や舌の位置, 口腔内を見ると口呼吸をしているか

どうかが確認できます.口呼吸はいぬも口を開けているため、口唇が乾燥し、舌で舐めると赤くなり、時には皮がむけてカサカサにしてしまいます。

そして、本来安静時に口蓋についている舌が,

ポカーンと開けた上下唇の間から見えます.ま

た口唇が触れていない前歯部の唇側面は, 日

常的に乾燥しているため、着色がしやすく, 前

歯部歯肉は歯肉炎になりやすい傾向があります.

ほかにも, 咬唇癖(口唇を前歯で咬む癖)や吸唇癖(口唇を吸う癖)などの口腔習癖は, 歯列咬合に影響を及ぼします.

デンタルハイジーンより   大石