平成23 (2011)年歯科疾患実態調査によれば、う蝕有病者率は5~24歳の各年齢階級で減少しているものの, 45歳以上では再び増加し、特に75歳以上で著明です.高齢者でう蝕が、増加している背景には.根面う蝕の増加が考えられます。

一般に, 高齢者は歯肉が退縮し, 歯根面が露出する傾向がみられ, セメント質はエナメル質に比べると軟らかいため, う蝕に罹患しやすいです。また, 根面はブラッシングやスケーリング、ルートプレーニングで摩耗しやすく, 象牙質が露出するので.根面う蝕はセメント質よりも象牙質に細菌が侵入して発症することが多いです.しかし.象牙質は再石灰化するため, 歯髄変化を生じにくく, □腔清掃や睡液の自浄作用により歯根部のPHはつねに変化し, 細菌感染した場合でも進行が遅い場合ちあリます.

したがって, 治療時には, 進行期なのか停止期な

のか, さらに睡液の分泌量などの状態を精査す

ることが重要です。

予防としてのフッ化物応用は、睡液機能が低下し願蝕が多発する高齢者に有効であることが報告され, 平成26年度歯科診療報酬改定では,自立度が低下した高齢者などの在宅診療で.初期根面う蝕に対するフッ化物歯面塗布処置が新たに保険収載されました.また,わが国ではフッ素濃度に制限がありますが.1,1 00ppm以上のフッ化物配合歯磨剤と0.05% NaF配合洗□剤の日常使用ち, 活動性根面願蝕を再石灰化するうえで有効であると報告されています。さらに、施設入居高齢者にフツ素濃度5.000ppmの歯磨剤にて1日2回ブラッシングを行うことは,1,450ppmの歯磨剤を使用するより根面願蝕の予防効果が高いことが報告されています。

□腔乾燥の原因には.加齢以外にも, □呼吸、不十分な咀爵, 内分泌異常.代謝障害, 自己免疫疾患,貧血,、血液疾患, 薬物, 脳血管障害、睡液腺障害,、放射線障害, 先天異常, 発育不全,分泌神経障害, 精神的原因などの因子が考えられます。

原因が全身疾患, 薬物などでは, 原因疾患の治療, 薬物の中止, もしくは滅量などの医科的なアプローチが必要となりますが、歯科的アプ□ーチとしては, 人口睡液.保湿.浸潤剤を使用します。

人口唾液にら、洗口液オーラルウェットスプレー、サリベートエアゾール、などの噴霧タイプ、バイオティーンオーラルバランスジェルのようなゼリータイプもあります。

デンタルハイジーンより参照   大石