
こんにちは!受付の山下です。今回は高齢者の歯周治療についてお話しします。
Q高齢者にみられる口腔内所見、および歯周病の実態はどのようなものですか?
A一般に高齢者の口腔内の特徴として、①歯の咬耗・摩耗②歯の破折③唾液の減少等による口腔乾燥④根面カリエスがあります。
また、近年の8020運動などの啓蒙活動により80歳で20本以上の歯が残っている人の割合は平成23年歯科疾患実態調査において38.3%と調査ごとに贈加し、高い割合を示しています。しかし、同時に4mm以上の歯周ポケットをもつ人の割合も、高齢者、特に75歳以上の方では42.8% と、平成17年度の調査から10%以上も増加しています。よって、現在の高齢者は、歯がたくさん残っていますが、残存歯の歯周病擢患率は上がっているということがいえます。さらに、上述の高齢者の口腔内の特徴としてあげたものは、歯周病と相互に関連し、より口腔内の環境を悪化させることになります。
Q高齢者における歯周治療とはどのようなものですか?
A自立している高船者の場合,歯周治療に対して歯周組織は正常に応答すると報告されています。よって、高齢者というだけで特別なことを考える必要はなく、通法とおり病因を除去し(炎症のコントロール)、歯肉の付着を促進することで、個々の歯、および機能的な歯列を保全することができます。ただ精神状態の変化、全身状態の悪化、手先の器用さの衰えから、セルフケアとしてのプラークコントロールが十分に行えなくなることが多くそのような場合にはプロフェッショナルケアでの介入によって歯局病の進行をコントロールすることで、生涯にわたり快適で機能的な歯列を維持するという方向に治療目標をシフトさせることが重要です。
Q高齢者におけるメインテナンスの意義と実際とはどのようなことですか?
A高齢者であってもSupportive Periodontal Therapy(SPT)、メインテナンス治療はたいへん重要です。口腔内環境はもとより、誤艦性肺炎の予防としても口腔内細菌を減少させることは非常に有用で、実際,口腔ケアにより肺炎や発熱の発症回数が減少し、肺炎による死亡数も減少すると報告されています。
また、菌血症から感染性心内膜炎等の重篤な感染症を発症させないためにも、日常的に口腔清掃を支援し、個人の必要性に応じて定期的で専門的なSPT、メインテナンス治療を行う必要があります。
SPTの間隔は通常3カ月に一度程度行いますが、個人の必要性に応じて決定します。歯周炎に対する感受性が高かった患者さんが高齢になられた場合は、疾患の再発を注意深く検査し、SPT、メインテナンス治療を継続する必要があります。
デンタルハイジーン参照