
こんにちは、助手の長副です。今回は総義歯の情報を掲載します。
★入れ歯は齲蝕や歯周病にはならないが…
総義歯の方のなかには、「歯がないのだから、虫歯や歯周病の心配はなく、入れ歯の調子が悪くなったら歯科医院へ行けばよい」と思っている方もいるかもしれません。てすが、義歯を長く使っていると、義歯や口腔内に徐々に変化が生じ、咀嚼機能が低下していく可能性があります。その様な機能低下を未然に防ぐためには、定期検診により緻密な調整を行う必要があるのです。
★長期経過に伴って起こるさまざまな変化
長期経過に伴って生じる変化としては、大きく分けて、身体に生じるものと義歯に生じるものがあります。まず身体に生じる代表的な変化は、①顎堤の吸収、②顎関節の変化、③口腔周囲筋の筋力低下、④唾液分泌量の減少であり、義歯に生じる変化としては⑤人口歯の咬耗と⑥義歯床用材料の劣化などがあげられます。
①顎堤の吸収
歯周病などで歯の周囲の骨が吸収します。歯を喪失していても、顎堤部の顎骨は徐々に吸収していきます。そのため、完成当初はしっかり適合していた義歯も徐々に適合が低下し、外れやすくなったり、食事中に動きやすくなったりするなど、さまざまな問題が生じてくる可能性があります。顎堤の吸収により、義歯の適合が低下すると義歯に加わる咬合力を適切に負担できなくなり、痛みが生じやすくなる可能性があります。
②顎関節の変化
顎堤が吸収するように、顎関節部にも徐々に変化すると報告されています。加齢に伴い関節包や外側靭帯などの周囲組織にも緩みが生じ、結果的に下顎頭の運動範囲が大きくなるといわれてます。つまり、完成時と比べると徐々に顎関節の位置や動きが変化し、咬合が変化する可能性があります。
③口腔周囲筋の筋力低下
年齢とともに握力が減少するように、口腔周囲の筋力が徐々に低下します。たとえば、咬合力が低下すると、ものを噛みくだく力が少なくなるので、十分な食事が摂取できなくなる可能性があります。あるいは、義歯周囲の筋力が低下すると義歯の周りに咀嚼中の食べ物が溜まりやすくなることも考えられます。
④唾液分泌量の減少
唾液分泌量も、さまざまな原因により、年齢とともに減少していくことが知られています。唾液は全部床義歯にとっては非常に大きな役割があり、唾液が少ないと、義歯が外れやすくなったり、痛みが生じやすくなったりします。唾液量が少くなると、義歯と歯肉の間の潤滑作用が不足し、痛みが出やすくなります。
⑤人口歯の咬耗
よく噛める義歯ほど、咬耗が生じます。特に現在の主流である硬質レジン歯は陶歯に比べると咬耗しやすく、数年間使用しているとあっという間に適切な接触が失われていきます。咬耗が平坦になり、面と面の接触になると、咬断力は低下すると考えられます。咬耗が極端に進むと徐々に咀嚼能力が低下しはじめます。
⑥義歯床用材料の劣化
義歯床用材料も経年劣化が生じ、徐々に変色したり細かな傷がついたりします。日常の清掃はもちろん必要ですが、専門的なケアも行う必要があります。
デンタルハイジーン参照