
インフルエンザ予防に口腔ケアが効果的なことをご存知ですか?また、口腔内が不潔だとタミフルなどのインフルエンザ治療薬が効きにくくなる可能性があるそうです。
インフルエンザウィルスはヘマグルチニンという表面にある抗原性糖タンパク質で宿主細胞に侵入します。細胞内に入り込んで増殖し、ほかの細胞に感染を広げる際、ウィルスの表面にあるノイラミニダーゼという酵素を使って自身を細胞表面から切り離します。タミフルやリレンザなどは、この酵素の働きを妨げることによってウィルスの感染を防ぐのです。研究によると歯垢に含まれる2種類の細菌がこの酵素を作り出しウィルスの増殖を助けることが分かりました。また、タンパク分解酵素のプロテアーゼはヘマグルチニンの活動を活発化させます。これは喉などの粘膜に存在するものですが黄色ブドウ球菌、緑膿菌、肺炎球菌など口腔内の細菌もプロテアーゼを作ることができます。
このような実験がありました。高齢者を2つのグループに分け、一方は歯科衛生士による専門的口腔ケアと集団口腔衛生指導を行い、もう一方は普段通りの口腔ケアを行いました。インフルエンザ流行期6か月の発症者を比較したところ専門的なケアを受けたグループは普段通りのケアを行っていたグループよりインフルエンザの発症者が1/10だったそうです。専門家による口腔ケアを受けていると、口腔内の細菌数が低下します。それがインフルエンザの感染を防ぐ大きな役割を担っていたのです。
インフルエンザの予防方法は色々あります。ワクチンの接種はインフルエンザの重症化を抑える働きがあります。鼻と口を覆うマスクは飛沫感染のリスクを低下させてくれます。インフルエンザに感染した人が咳やくしゃみをした際に手で口を押さえると手にウイルスが付着します。そのままの手で触れるとそこにウイルスが残り、後から同じところを触った人が自分の鼻や口に触れ、感染します。こまめな手洗いも予防になりますね。インフルエンザは免疫が低下しているときにも感染しやすいので栄養や十分な睡眠をとることも非常に大切です。部屋を乾燥させないなど、環境を整えることもよく知られた予防法です。
これら皆さんもよく知っている予防方法に加えて「歯科衛生士の専門的な口腔ケアはインフルエンザ予防に有効である」という知識を是非プラスして下さい!今シーズンはインフルエンザの流行がかなり早い時期から始まっているようです。適切な予防法で健康に過ごしたいですね。
受付・助手:タカサワ