
こんにちは!歯科衛生士の中島です。
今回は歯周病の基本についてのお話です。
●歯周病はいつ発症する??
よくマスコミ等では、「日本人の8割が歯周病」といわれます。しかし、これは軽度の歯肉炎等も含んだ数値で、本当に歯周炎が重症化する「感受性の高い人」は1割ほどと考えられています。そして、歯周病の多くは40~50代に多くみられます。しかし、そもそも歯周炎はいつ発症するのでしょうか、昨日までは歯周炎ではなく、今日から突然歯周炎になった、という話は聞きません。おそらくこのような慢性の疾患は、「気がついたら進行していた」というKassebaum らによるシステマティックレビューでは、歯周炎はほとんどの場合 30~40代の間に発症し、そのピークは 38 歳という結果が報告されています。また、Thorbert-Mrosらによると、30~45歳の比較的若い、感受性が高いと考えられる患者さんを後ろ向きに調査した結果、22~28歳の間に発症していました。したがって、一般的には歯周炎は、30~40代に発症することがほとんどですが、感受性の高い患者さんでは 20代から発症することが考えられます。予防を行うにあたっては、これらのことに配慮する必要があるでしょう。
●そもそもリスクファクターとは??
よく「リスク」という言葉を聞くと思います。これは簡単にいえば、「疾患の起こりやすさ」を意味します。また、これに関連してリスクファクター, リスクインディケーター, リスクプレディクター, リスクマーカー,予後因子など、さまざまな用語が存在し、しばしば混同されているようです。このなかで「リスクファクター」という用語は「その存在が疾患の発症する確率を増加させることと、当該因子を排除すれば発症の確率が減少することが縦断研究により証明されているもの」と定義されています。したがって、単に関連性が疑われる要因ではなく、時間の経過とともにその疾患が発症する確率を高めることが証明されているものに限られるわけです。ちなみに、「リスクインディケーター」は断面研究、すなわちある一時点において関連が認められるもの、「リスクプレディクター」あるいは「リスクマーカー」は疾患との関係は認められるものの、その時点で原因とは考えられていないもの、「予後因子」は疾患の発症を予測するもの、と定義されています。この定義からすると、歯周病において、広義には細菌因子、環境因子、宿主因子など、いくつかのリスクファクターが考えられますが、厳密にリスクファクターといえるのは、喫煙と糖尿病が代表的なものです。
他にも、食生活や歯石、口腔習癖、悪い噛み合わせ、ストレスなどもリスクファクターとなります。
リスクを下げるために、もう一度日頃のブラッシングや食生活を見直してみましょう!

デンタルハイジーン参照