歯科衛生士の大切な仕事の1つにTBI(ブラッシング指導)があります。TBIをすることでホームケアのレベルアップをはかり、プラークコントロールの向上により歯肉辺縁の炎症を消退させます。また、メインテナンス時には、う蝕と歯周病の再発の予防を期待します。よい結果の出るケースと、あまり変化のみられないケースがありますが、患者さんとのコミュニケーションのとり方しだいで、TBIの結果が大きく変わるように思います。

以前は、すべての患者さんに対して、一般的に多くみられる「プラークの染めだし→鏡での確認→テクニックの指導(バス法、スラッピング法、フォーンズ法など)」という流れでTBIを行っていました。それは、患者さんのプラークコントロールの技術が上達してほしいと思う私の気持ちからスタートしていました。ここに大きな落し穴がありました。なぜなら、いくら私たちがTBIを行っても、患者さんに“話(説明)を聞きたい、知りたい”という、知識や方法を求める気持ちが起こっていない場合が多いからです。
そこで、ブラッシングテクニックが上手になってほしいという私の願いは、ひとまず心のなかにしまっておきます。テクニックの指導だけを中心にすると、ワンパターンで一方通行の指導になりやすいのです。以前の私は、この一方通行で押しつけるようなTBIをたくさん行なっていました。患者さんも、磨けていないことばかりを指摘されて、いやな気持ちになっていたと思います。そのような指導では、ブラッシングの習慣化もされず、一時的にきれいになっても長続きはしませんでした。
術者磨きが終わった後に「どうでしたか?」とオープンクエスチョン(「はい」「いいえ」で答えられるものでなく、患者さんが自由に答えられる質問)をすることで、患者さんが気になったことを知ることができ、アプローチしやすくなりました。
「術者磨きを受けていた最中に何を思ったか」「何が気になったのか」、患者さんの返事により、その後のTBIの仕方が変わります。自分自身が気づいたことなので、患者さんにも記憶に残りやすいです。
患者さんと言葉を交わすなかで、知識の伝達だけでなく、コミュニケーションとして信頼関係をすこしずつ築けていたように思います。
私は、TBIで大切なことは、まず患者さんの興味を引き出し、興味に合わせて進めていくことだと思っています。
患者さんにやって“やってみよう!”という気持ちをもってもらうことができれば、TBIはさらに楽しくなるでしょう。

デンタルバイジーン参照
受付 山下