こんにちは、受付の阿部です。

日本では 2018年には認知症の人数が500万人を超え、65 歳以上高齢者の約7人に1人が認知症と推定されています。このように、認知症は家族や身近な人が発症することを含め、私たちにとって身近なものとなっています。つまり認知症は歯科診療の現場で、誰もが関わる可能性が高い病気の1つとなったと言えます。

国の取り組みのなかに「歯科医師の認知症対応力向上研修」の実施が整備され、2016年から全国で実施されています。この研修会の趣旨は”認知症を歯科診療ができない理由にしない”ことだと考えられています。8020運動で多くの歯を残すことができるようになりましたが、80歳を超えると認知症の発症率は高まります。つまり、高齢者の方々に多くの歯を残していただいた以上、認知症になってもその歯を守ることは、われわれ歯科医療にかかわる者にとっての責務ではないかと思います。

認知症とは、1度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害やによって持続性に低下し、日常生活や社会性生活に支障をきたすようになった状態とされています。

ここで4大認知症と呼ばれているものを説明します。

①アルツハイマー型認知症
認知症の中で最も多い病型で、すべての認知症の半分以上を占めます。最初に起こる症状は、記憶障害であることが特徴で、同じことを何度も聞く、置き忘れやしまい忘れが目立つなどから始まる場合が多いといわれます。さらに進行すると、段取りが立てられない、気候に合った服が選べない、時間や場所の感覚が曖昧になるが生じてきます。その他重要な特徴として忘れていることをとても上手に「取り繕い」をすることはぜひ知っておいてほしい点です。

身体機能の障害は,重度に進行し多段階で、失禁、歩行障害などから現れ、さらに進行し寝たきりに近い状況になり、はじめて嚥下機能障害などが出てきます。

②血管性認知症
脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破裂したり(脳出血)して起こります。高血圧症や糖尿病などの生活習慣病や心臓病などを治療することで、発症や進行の予防が可能な認知症です。特徴としては、認知機能障害による症状が突然現れたり、その症状が段階的に悪化・変動したりします。脳が障害を受けた場所によって、歩行障害、言葉が理解できない、感情のコントロールができないなどの認知症以外の随伴症状が早期からみられます。

③レビー小体型認知症
障害される神経系が多系統なため、認知機能症状以外に精神症状やパーキンソニズム (動きが遅くなる,手が震える,転びやすくなる)、自律神経症状(立ちくらみ,排尿障害,失神)など多彩な症状が出ることが特徴です。症状としては、初期には記憶障害よりも、遂行(実行) 障害や問題解決能力の低下、さらにリアルで具体的な幻視の出現が特徴です。また、しっかりしているときと居眠りをするときの差が激しいなど、一日のなかでも症状の変動が大きく現れます。

④前頭側頭葉変性症
前頭葉と側頭葉前部病変を主体とする認知症で、タウタンパクの異常蓄積が原因とされています。前頭葉が主として障害されると、人格や行動の変化がみられます。たとえば、みずからを抑えることができず衝動的な行動 や、同じ行為を繰り返す、あらゆることに意欲がなく、何もしなくなるなどの傾向が見られることがあります。

一方、側頭葉が障害されると、言葉の障害が初期から目立ち、言葉数が減り、字を読んだり、書いたりすることが難しくなる言葉の意味が失われるなどの症状が特徴的です。

私たちは、認知症の専門家ではありませんが、口の専門家として認知症の方、さらにその家族の方の力に少しでもなれるようになりたいと思っております。

デンタルハイジーン参照