
こんにちは!歯科衛生士の中島です。
一所懸命に歯を磨いているのにもかかわらず、なぜか歯周病が改善しなかったり、齲蝕が進行してしまう。口腔内に不快な症状があるけれど、原因がはっきりしない、そんな症状はありませんか?
実はそれらの陰に“ドライマウス”が存在していることがあります。ドライマウスには唾液量の低下だけでなく、口腔粘膜の保湿力の低下や口腔乾燥感をもつもの含まれます。
特に唾液量が低下すると、簡蝕や歯周病に影響を及ぼすだけなく、食事や会話など日常生活にも支障をきたします。これは,唾液には抗菌作用や再石灰化作用、粘膜保護作用、潤滑作用、食塊形成作用などさまざまな役割があるためです。唾液量は徐々に低下することも多いです。
1. 舌を注意して見る!
ドライマウスは口腔内全体に現れる症状ですが、まず舌を見ることでいろいろな情報を得ることができます。
ドライマウスは舌の状態に応じておおまかに、①カラカラタイプ、②ネバネバタイプ、③ヒリヒリタイプの3つに分けると、その後の対応を検討しやすくなります。
①カラカラタイプ
舌だけでなく粘膜など口腔粘膜の水分が蒸発し乾燥しています。
②ネバネバタイプ
唾液の漿液性と粘液性のバランスが悪いことが多く、泡状の唾液が舌に残っています。
③ヒリヒリタイプ
舌乳頭の萎縮があり、舌が強い赤みを帯びています。
2. ドライマウスの原因を考える
ドライマウスの1つである唾液量が低下する原因は、シェーグレン症候群などの疾患、噛む頻度の低下、薬剤の副作用やストレスなどさまざまです。
口腔内の不快な症状がいつから出現して、その近い時期に何か生活の変化がなかったかどうかも確認しましょう。
たとえば義歯の新調による口腔内環境の変化や、市販薬の服用、仕事の忙しさや介護疲れなども原因の1つとなります。
また、化粧品が肌に合わないと荒れてしまうように、使用している歯磨剤やマウスリンスが口の粘膜に合わない場合もあります。
そのためセルフケアの状況も大事です。
ドライマウスは原因が明確で、それに対応できれば、まったく気にならないところまで改善することも可能です。
しかしながら、原因がわからない。取り除くことができない。などの場合は、症状をすこしでも和らげるように対症療法を行います。
3.保湿剤を使う
ドライマウスの対症療法では保湿剤がよく用いられます。保湿剤には一部唾液とよく似た効果をもつものがあります。
保湿剤の性状には、ジェルやスプレー、マウスリンスなどがあり、それぞれの特徴とどのタイプの方に適しているか分かれます。
ジェル
保湿力が高いのでカラカラ、ヒリヒリタイプの方に適しています。うがい等で口の中を潤してから、マッサージをするように塗布すると効果が高まります。一方、ネバネバタイプの方の場合、かえって粘つきが増すため、最初に別の性状の保湿剤を勧め、慣れた後に使用していただきます。
スプレー
即効性が高く、特にカラカラ、ネバネバタイプの方では少ない漿液性唾液(サラサラの唾液)の代わりの効果をもたせます。携帯性や手軽さの点で優れているため、昼間の渇きが気になる方や、ジェルを手で塗るのが煩わしい方におすすめです。
持続力はジェルと比べて低いため、ジェルとの併用でカバーすることも可能です。
マウスリンス
口腔内全体や喉まで広がりやすいため、全タイプの方にはじめから勧めることができます。特に喉の乾燥感をもつカラカラタイプの方に適しています。原液では味が濃く気になるという方には、用法を確認のうえ、はじめは薄めて徐々に濃度を高めて使用してください。
ドライマウスの患者さんは年々増加しています。
お口の渇きにお困りの方は治療やクリーニングの際、お気軽に歯科医師&歯科衛生士にご相談ください。
デンタルハイジーン参照