
歯科衛生士の秋山です。
今回は難しい内容ですが、
くすりによる口腔内への影響についてまとめました。
身近なおくすりたち
超高齢社会のわが国では、医学的に問題のある患者さんが増加しています。
これらの患者さん対して安全かつ、有効な歯科医療を提供するためには、
つねに全身との関係を考えて歯科処置を進める必要があります。
全身疾患の治療だけでなく、かぜや頭痛などの症状、健康維持などにはさまざまなくすりが使用され、歯科治療においても痛み止めや抗菌薬などを処方することが多くあります。
くすりの副作用
1、副作用の分類とその特徴
副作用分類
①薬理作用
期待される薬理作用が過剰に発現して起こる
②薬物毒性
薬物の代謝器官である肝臓、排泄器官である腎臓などに薬物の影響が出ることで起こる
③薬物過敏症(アレルギー)
歯科でよく使われるペニシリン系、セフェム系の抗菌菜などで起こることが多い。
くすりによる口腔内への影響
例1、BP製剤による顎骨壊死
メルファランはアルキル化剤に分類される抗がん薬プレドニゾロンはステロイド性抗炎症薬で、これらによる多剤併用療法をMP療法といいます。
メルファランは古くから使われている従来型の抗がん薬の1つです。
多発性骨髄腫は骨の中でがんが増大し、高カルシウム血症や骨痛が起こりやすいため、これらに対してBP製剤が支持療法として使用されます。
ゾレドロン酸はBP製剤で、多発性骨髄腫による高カルシウム血症や骨痛が起こりやすいため、これらに対してBP製剤が支持療法として使用されます。
骨粗鬆症のくすりとして知られています。
例2、てんかん薬による歯肉増殖症
フェニトイン、カルバマゼピン、バルプロ酸はいずれも抗てんかん薬で、フェニトインは服用者の50%が歯肉増殖を起こすとの報告もあり、歯科臨床上とても重要なくすりです。
抗てんかん薬を含めて、くすりによる歯肉増殖はよく見られる副作用です。
また、いずれのくすりも催奇形性を起こす危険性が高く、妊婦には禁忌または有益性が上回る場合にのみ投与されるとされています。
例3、抗菌薬の投与に伴う黒毛舌
特発性肺線維症は標準的な治療法は確立しておらずステロイドの治療も予後不良といわれています。
プレドニゾロンはステロイド性抗症薬、セフォゾプランは第4世代の注射用セフェム系抗菌剤、スルファメトキサゾール・トリメトプリムはサルファ剤に分類される抗菌薬です。
サルファ剤はかつては広く用いられましたが、現在は使用が限られています。
黒毛舌は菌交代現象が原因とされ、舌乳頭が肥厚し、黒色に着色したもので、黒い毛が生えているように見えることから命名されました。
抗菌薬やステロイドの長期服用により菌交代症が起こったと考えられ、要因の1つとしてセフォゾプランの抗菌スペクトルが広いことがあげられます。
この他にもくすりによる口腔内への影響はまだまだあるので、また機会があれば調べようと思います。
デンタルハイジーン参照