皆さん、こんにちは!勤務医の林邉です。
ここのところ寒さが増してきて、本格的に冬になったと実感しています。

 

ストレスがかかりやすい時期

12月になってからは、お仕事が忙しくなったり、大掃除をしなければならなかったり、学生さんは試験が近づいていたりと、慌ただしい日々を送った、送っている方も多いと思
います。

このようなストレスがかかりやすい状態の時、「噛むと痛い」「夕方くらいから歯が痛くなる」でも「翌日には良くなってしまった。」「なぜ?」という経験をされた方も多いのではないでしょうか。

 

これがTHC!

これはTCHと呼ばれる症状です。

TCHとはTooth Contacting Habitの略称です。

人は普段、唇を閉じていても上下の歯は接触しておらず、上下の歯の間は1~3mm程度の隙間が空いています(これを安静空際と言います)。

通常、上下の歯の接触は食事などで物を噛むとき、物を飲み込むとき、また喋っているときなどの瞬間的な接触をするのみで、その接触時間は積算しても1日平均17.5分であると報告されています。

 

でもそれだけじゃない!

しかし、実際はこれら以外の時にも、歯を接触させてしまっている人が多くおり、特に顎関節症の方ではこの割合が高く、悪い癖として認識していないのです。

具体的にTCHが起こりやすい状況は、

緊張するような作業、

苦手な人との会話、

勉強や家事での集中、

精密作業などで歯を接触する機会が増えると言われています。

また、PCやゲーム、携帯などでの集中や、少しうつむいた状態での操作は自然と歯を接触させる状態となり、歯の接触時間が増えてしまいます。

そして、歯を接触させる状態が繰り返し継続していくと、歯を接触させることに脳が慣れてしまい、触れていることが普通の状態になります。

 

この状態が続くと…

このように歯が触れた状態が長くなりすぎていても、それに気付かなくなることが問題なのです。

本来なら1日20分程度しか接触していないのにも関わらず、何時間も接触させていることに気付かなければ、筋や関節も除々に疲労していき、そこでやっと痛みとして自覚するようになるのです。

 

癖を治すのは大変ですが

では、その無意識に行なっている癖をどのように治すのか。

それは患者さんにTCHを意識してもらうことが1番です。

具体的には、「歯を離す」「リラックス」「力を抜く」などと書いたポストイット(リマインダー)を用意し、5分以上いる場所、見る物に貼り付けます。

机の上、携帯やパソコン、冷蔵庫などが効果的かと思います。このとき、視線を移せば、そこにも貼り紙があるという状況をつくり出すことが大切です。

また,TCHをする可能性のあるシチュエーションを覚えておくことで効果的なリマインダーの場所を見付けることができます。

 

 

意識化訓練で大切なこと

リマインダーをみて,実際に TCH を行っているのだと気付き、驚くことであり、その気付きが大きいほど脳にインプットされやすいのです。

私は患者さんの歯の治療に集中しすぎて、自分の歯が痛くなる時があります。

歯を守るためにも、悪い癖はしっかり治していきたいものです笑