毎年12月になると
「年末年始に増加する高齢者の事故に注意しましょう!」
と消費者庁からの注意がさかんになります。
その事故としてあげられるものの1つが、
「餅による窒息事故」であり、
高齢者だけではなく、食物の窒息事故は後を経たないのが現状といえます。
窒息による事故の件数がもっとも多いのは1月1〜3日で、
もっとも少なかったのは6月であり、
食文化としてお正月に食べる「餅」が要因であるだろうと報告されています。
窒息のメカニズム

「誤嚥」とは飲食物が食道ではなく、声門を超え気管に入ることをいい、
「窒息」とはその誤嚥によって気道が塞がれ、呼吸ができないこと状態のことをいいます。
窒息しやすい食物として、内閣府食品安全委員会がそのリスク評価を2010年に発表しています。
事故を起こしやすい食品を
「餅」
「こんにゃく入りミニカップゼリー」
「飴類」
「パン」
「肉類」
「魚介類」
「果実類」
「米飯類」
の8つに分け、1口あたりの窒息事故類度を評価しています。
窒息事故の頻度は「餅」がもっとも多く、
次いで「こんにゃく入りミニカップゼリー」
「飴類」と報告されています。
これらは食品のテクスチャーや大きさ、形などが影響していると考えられていますが、
実際はそのほかの要因も窒素へ影響を及ぼすことが知られています。
その代表的な誤嚥や窒素のリスク因子は、基礎疾患や摂食嚥下機能の低下、認知機能、食事環境等の変化などがあげられ、
加齢とともに接触嚥下機能、口腔機能等は低下するため、高齢化が進む現代において食物の誤嚥による窒息事故は増加します。
食べることは楽しみ
最後に、実際に歯科医療従事者として窒息事故にかかわる食事支援を行った症例についてお話して、まとめとしたいと思います。
接触嚥下障害患者さん等を診察する際に、窒素や誤嚥のリスク評価を行い、食事形態を設定することがありますが、
さまざまな食事摂取に関する制限は、食の楽しみそのものの制限にもなってしまう場合があります。
特に、精神疾患や認知症がある患者さんでは、食べ方や食習慣により窒息のリスク、窒息による死亡リスクが高いことが知られています。
しかし、精神科病院入院中の患者さんのなかでは、「食べること」が楽しみの1つになっていることが多く、食を支える支援はとても重要と考えられています。
今回は精神科病院にて、窒息の既住のある患者さんに対して接触嚥下リハビリテーションの介入を実施、食形態の改善に向けたアプローチを行った症例について報告します。
窒息のリスクが高い患者さんへの食支援
患者さんは60歳男性で、統合失調症により長期にわたり精神科病院に入院し、加療しています。
1年ほど前の食物による窒息事故後、おかゆなどの食事を摂取していました。
しかし、全身状態が改善し本人から「おかゆばかりでは飽きた」といった希望から、適切な食形態の評価を行うため、嚥下内視鏡検査の依頼がありました。
窒息事故後は、主食は全粥、副食はとろみが付与された刻み食を召し上がっていました。
評価の結果、水分による誤嚥(不顕性)を認め、米飲(常食)は咀嚼機能低下から、食塊形成が行われず、米粒が咽頭に残留する様子を認めました。
摂取スピードが速く、初診時の評価は常食窒息のリスクも高いため、食形態のアップにはつながりませんでした。
そこで、義歯の調整と並行し、おやつとして、口の中でまとまりのよい菓子の摂取を、一口量の制限や看護師による見守りのもと許可し、咀嚼訓練を兼ねた摂取嚥下リハビリテーションを実施しました。
その後、経過を定期的に追い、半年後に咀嚼機能も改善を認め、米飯で食塊形成が良好となり、咽頭残留も軽減したことから、
看護師の見守りの体制が手厚い昼食時のみではありますが、米飯と常食に近い食形態での提供が可能となりました。
この症例では、精神疾患による服薬による薬剤性の嚥下障害が生じており、
誤嚥のリスクは高いですが、口腔機能の改善、本人への咀嚼の促し、看護師等との他職種とのかかわりにより、
窒素のリスク軽減し、食事の楽しみにつなげられることができた症例であると考えられます。

デンタルハイジーン12月号参照
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